先端医療ネットワーク懇話会

第4回先端医療ネットワークセミナー
−第5回先端医療バイオロボティクス研究会−
研究の現場から見えること

第4回先端医療ネットワークセミナーは、第5回先端医療バイオロボティクス研究会も兼ねており、
“研究の現場から見えること”というテーマのもと、アンデン且謦役代表・藤波弘氏、元東北大学
先進医工学研究機構長・玉井信氏にご講演いただきました。

■日時: 平成20年8月7日(木) 18:00〜20:00(受付開始17:30)
■会場:

ミッドランドホール会議室A(名古屋駅前ミッドランドスクエア5F)

■内容:

開会挨拶 岩田久 先生(名古屋大学名誉教授)
講演1 「自動車の安全装置」藤波 弘 氏
     (アンデン株式会社取締役社長)
 司会 西川 俊男 氏(ユニー株式会社特別顧問)
講演2 「生命科学と工学技術の融合を目指して」玉井 信 氏
     (元東北大学先進医工学研究機構 機構長)
 司会:三宅 養三氏(愛知淑徳大学教授)

   
■講演内容
講演1 「自動車の安全装置」

藤波 弘氏(アンデン株式会社取締役社長)

 自動車の安全性向上のためにどのような技術が使われているか、その進化の様子を動画も使用して分かりやすく解説していただいた。
 安全装置の中で最も重要なものは、衝突安全に関するシステムである。代表的なものはエアーバックであり、衝突時の衝撃を緩和するものだが、作動加減によっては逆に後方に打ち付けられ死亡するという副作用もあった。その後の研究により、この点は改良され、現在では正しい使用法を取れば問題はない。しかし、エアーバックはシートベルトの着用が大前提であることを忘れてはならない。後部座席でのシートベルト着用が義務付けれらたのもそれによる。
 車はモデルチェンジする度に最新の技術が登用され、新しいものほど安全性が高い。近赤外線カメラで人影を照射するナイトビューや、前車との適切な車間距離を一定に保ち走行するシステムなど、運転支援装置として最も重要なドライバーの目を支援する装置も開発された。
 このような技術開発の進歩は、医療技術の進歩とも類似点があり、現在は先進技術でもって、人間が見落とした危険をどのように瞬時にドライバーに知らせるかという予防安全、運転支援技術も研究開発されている。

講演2 「生命科学と工学技術の融合を目指して」

玉井 信氏(東北大学名誉教授、前東北大学先進医工学研究機構長   
   仙台市病院事業管理者)

 文部科学省科学技術振興調整費戦略的拠点育成プロジェクトとして採用された東北大学先進医工学研究機構での5年間の活動、採用された21のタスクチームとその成果、そして、日本の医工学研究に必要な事などについてお話しいただいた。
 このプロジェクトは、研究開発機関の組織改革をし、国際的研究拠点を作ることが目的とされ、医学と工学の融合も図られた。
 日本の医工学研究が遅れているのには様々な原因が考えられるが、医者と工学系研究者が持つ基本的な考え方の違いにも大きな原因があると思われる。
 日本における研究開発の最終目標は、論文などを多く出すことではなく、臨床応用につなげることであるはずだ。すなわち医工学研究において今後の日本に望まれるのは、医工学の最終目標を科学的価値、工学的価値を超えて、社会的価値、経済的価値いわゆる臨床に利用可能に到達させうる研究者であろうと思う。今後の日本での医工学研究では、そういった研究者を大切にすることが重要となるようだ。
 機構長の間に経験された、その良い例となる眼疾患の遺伝子治療についても、例を挙げて説明していただいた。